夜中に ”ああ、松前漬けが食べたい” と思ったあたりから、鯛のあらの煮付け、きゅうりの漬物、しおから、蛸の酢の物、たらこと蒟蒻の煮物など懐かしいたべものがふつふつと頭の中に沸いてきて眠れなくなった。
夜中にむくりと起き上がった私は台所へ向かった。おもむろに大豆の袋の封を切って水に浸しだした。
まあ、毎晩3時までおきている私にとってはこんなことは珍しくもない。カナダで買ったあり合わせのもで大豆の煮物でも作ろうかとの算段。
不思議なもので大豆は乾燥しているときは完璧に丸いが、水に浸すと楕円形に変わる。誰かこのなぞを解明してくれないものだろうか。大豆はい一晩水につけられて次の日気長にやわらかくなるまで一日ゆでられた。ひじきを水につけて大根を刻んでほかの材料と順々に炒める。あとはまた気長に海老とだしと一緒にことこと煮られるだけだ。
できあがりの大豆の煮物を食べてなにかちょっと物足りない味がした。妊婦用に薄味にしたがそれだけでもないらしい。干し海老の独特な香りと味がごま油でもちょっと隠しきれていないように感じる。思案の末にしいたけが必要との結論に達した。しいたけとは不思議なものだ。しいたけを入れすぎたり、乾燥したのを戻した水をちょっとでも入れすぎてもすべてがしいたけの味になってしまうので敬遠する人も多い。
外人にとってはしいたけはおぞましいものの一つらしく ”なめくじ~” といって恐れるものも少なくない。
以外としいたけの良さを再確認hしたのはハワイにおいてである。中国人の友人の餃子がおいしくて作り方を習ったところ、ちょっとした乾燥しいたけが味を大幅に改善することを発見。さらに中国のシュウマイにはあら引きの豚挽き肉にぷりぷりの海老のぶつ切りとしいたけが欠かせない。これはいくら食べてもあきない味だ。
しいたけの不気味で臭いその特徴的な味がなぜか食べ物の味を引き出す。しいたけに限ったものでもない。結婚して初めてひじきの煮物をみたカナダ人の夫は ”ごくり” と生唾をのんでいるのが私の目の端に移っていた。切り干し大根はなんとか受け入れられたがやはりひじきは厳しかったらしい。思えばひじきも切干大根も臭いし見た目は最低だ。そう考えればしょうゆやみそもそのたぐいに入るような気がする。
しかし何故かその ”臭い” ”不気味’ な食材を組み合わせるとなんともいえない味の深さが食材に加わる。年を重ねるのもそんなものかも知れない。子供時代のかわいらしいさや青少年時代の若さが消えて、なんだかやたら色んな経験を積むうちにしわくちゃになって古臭くなって辛気臭くなって、そして何故か ”深い味” がでてくるのかも知れない。まあ30台突入の希望的な観測かもしれない。
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